- 2022年01月18日
- 「新型コロナワクチンについて」
新型コロナウイルス感染症の軽症化に大きく寄与している新型コロナワクチン接種ですが、その製造法はインフルエンザワクチンとは大きく異なり、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンというあらたな製造技術が使われています。従来製造法のインフルエンザワクチンでは鶏卵でウイルスそのものを増殖させてから薬でウイルスを破壊、不活化したウイルスのかけらをヒトの体内にワクチンとして接種します。このかけらを敵(非自己)として認識させることによりウイルスの形を免疫記憶させることでウイルスに感染しない、感染しても重症化せず軽症で終わらせるのです。
一方、今回のファイザー社、及びモデルナ社製の新型コロナワクチンはmRNAワクチンといわれ、新たな製造法で作られています。
mRNAには作りたい蛋白の設計図が書かれています。本来、全ての生物はDNA(遺伝情報の元)から作りたいタンパク設計図をmRNAという形でDNAからコピーしているのです。コロナウイルス表面にあるスパイク蛋白の設計図をmRNAをワクチンとして接種し、ヒトの体内でコロナウイルスのスパイク蛋白を作らせるのです。以後、インフルエンザワクチン同様に作られた蛋白は敵(非自己)として免疫記憶してくれることになります。
mRNAワクチンのメリットは短時間で製造可能、かつウイルス株が変異しても蛋白設計図であるmRNAをすぐに書き換えてワクチン製造可能である点で画期的な製造法です。
そこでヒトにmRNAを注入して危険ではないか!との疑問が生じます。ネットでも不安を煽る投稿がたくさん出ておりますが、現状、厚労省の見解も心配ないとの結論です。なぜなら、体内では作りたい蛋白は必要な時だけ作り、作り続けられたら困るからmRNAはもともと非常に壊れやすくできているものです。常温保存や振動で壊れやすいmRNAワクチンの取り扱いに十分な配慮が必要なことからもmRNAの壊れやすさを垣間見ることができます。また、mRNAからDNAは作られることもないので、mRNAワクチンによって私たちの遺伝情報であるDNAが変わることはありません。
今後、新型コロナワクチンのさらなる免疫効果(ブースト効果)を期待し3回目接種が始まろうとしています。そこに新たなワクチン製造技術進歩の恩恵を感じつつ、新型コロナウイルス第6波の終息を祈るばかりです。
文責 岩崎 靖樹